愛宕の森と緑を守る会
愛宕山の植物 - 3
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草花を見頃によって、およその季節ごとに分類してあります。樹木・その他は別ページですが、花や実がついている画像は季節別にも表示してあります。左に種名をリストして、季節ごとにマークの色で区別してありますが、クリックすれば、その画像を表示した場所に移動できます。
秋の散策
暖地の沿岸地域に生える常緑多年草。葉に光沢があり、茎は食用になります。
通称ヤマイモ(山芋)。自生種は自然薯(自然生)ともいう。愛宕山に多く自生するツル性多年草。ヤマノイモ科。雌雄別株。根は長くのび、円柱形の多肉根になり、食用に。
ヤマノイモの雌株の花は花序が垂れ下がって咲くが、他の種と異なり、花は開花しても下を向いたまま。他の種の花は開くと上を向く。種子はカプセル(鞘)に入っているが、鞘も下を向いているため、鞘が開くとそのまま落下する。
芒、薄。イネ科ススキ属の多年草。別名、尾花。茅、萱とも言われる。秋の七草。北米では侵略的外来種として問題に。
黄色いつぶつぶに見えるのが雄しべで、その細長い先端部は葯(やく)と言われ、中に花粉が詰まっている。葯は開花の始めに見られるが、やがて白色の綿毛が伸びて穂全体が白っぽく見えるようになる。
縮笹。名前にはササが付いているが、ササではなく、イネ科の多年草。高さは10〜30センチ。日本全土の野原、山地の半日かげに普通に見られる。笹に似た葉で、波打ったように縮んでいるのが名前の由来。
イネ科にしては目立つ花が8〜10月に咲く。
筑紫萩。マメ科ハギ属。本州〜九州の陽当たりの良い山地に生える落葉低木。他のハギとは異なり、日本固有種。花期は7〜10月。3葉からなる葉の形は丸みをおびてマルバハギに似るがやや細長く、花序は葉より長く延び、マルバハギとは花の付き方が全く異なる。花(翼弁)の色は鮮やかな紅紫色だが下部の弁(龍骨弁)などが白く、全体としては淡い色に見える。
栴檀草。キク科センダングサ属の1年草。高さ0.3~1.5mで、花期は9~10月。関東以西に普通に生える在来種だが、縄文時代に帰化したとみられている。葉の形がセンダンに似ているとのことで命名されたとのことだが、あまり似ていない。
筒条の頭花の周りに通常5枚の黄色の舌状花が開いている。種子は厄介なひっつき虫。似た種に、舌状花が白いコシロノセンダングサ、舌状花の無いコセンダングサ、舌状花がなくて代わりに葉状の総包が目立つアメリカセンダングサなどがある。
合の小栴檀草。キク科センダングサ属の1年草。花期は9~11月。コシロノセンダングサ(北米原産)とコセンダングサ(熱帯米原産)の雑種と考えられている外来種。
コセンダングサと特徴がほぼ似るが、花の中心にある黄色い筒状花のうちの外周部の一部が白色になり、場合によっては花弁が大きくなって舌状花のように見える点が異なる(コセンダングサには舌状花が無く、コシロノセンダングサには5個前後の白い舌状花がある)。果実は他のセンダングサ属と同様に、厄介なひっつきむし。
嫁菜。キク科シオン属の多年草。別名、夜目菜、オハギ(古名)。一般に見かける、いわゆる野菊のうちのひとつ。
舌状花は15~20枚あり、通常淡紫色だが白色のも。若芽を嫁菜ご飯などにして食す。
大豚草。キク科ブタクサ属の一年草。別名クワモドキ。北米原産の帰化植物(1952~)でスギ、ヒノキに次ぐ花粉症の元凶に。
背高泡立草。キク科アキノキリンソウ属の多年草。別名、セイタカアキノキリンソウ、代萩。北米原産の帰化植物。花期は10~11月。高さは1~2.5m、場合によっては4mを超すことも。「侵略的外来種ワースト100」の代表格で、外来生物法で生態系被害防止外来種リストに挙げられている。開発等による荒れ地で特に繁茂し、急速に全国に広がったが、現在は一時ほどの勢いは無くなっている。他の植物の生長を阻害する化学物質を土壌中に放出し、ススキなどの在来種を駆逐するが(アレロパシー)、その濃度が濃くなると自身で発芽傷害を起こす。一時期、気管支喘息や花粉症の大きな原因だと思われて、濡れ衣を着せられていた。
晩秋〜冬の散策
愛宕山の晩秋の花の主役で、道端に多く咲いていたが、残念ながら伐採で激減し、希少種に。
油菊。キク科キク属の多年草。別名シマカンギク(島寒菊)、ハマカンギク(浜寒菊)。中央部の筒状花は黄色。周りの舌状花(いわゆる花びら)は多様で、通常は黄色だが白色のものもある。近畿以西の日当たりの良い斜面に。江戸時代から油に浸けて傷薬として使われていた。これが名称の由来。
下の画像は愛宕山観光道路(北斜面の自動車道)のヘアピンカーブの擁壁に咲いているアブラギクです。
アブラギク
中央部の筒状花は黄色。周りの舌状花(いわゆる花びら)は多様で、通常は黄色だが白色のものもある。近畿以西の日当たりの良い斜面に。
愛宕山の秋の花の主役であったが、残念ながら路側の草刈りによる伐採で激減し希少種に。
乾燥させた花をゴマ油に浸け、解熱、解毒、消炎(ヤケド、切り傷、打撲等)に用いる。菊茶として飲用にも。
舌状花が黄と白との中間的な色のアブラギク。
舌状花が白色のアブラギク。あるいは、アワコガネギクとリュウノウギクの交雑種であるシロバナアブラギクであろうか?
その他の草木
実葛。マツブサ科サネカズラ属。常緑つる性木本で雌雄異花。ビナンカズラ(美男葛)とも言い、リンスとして使える。愛宕山の代表的な種だが、近年希少に。 晩秋になると綺麗な赤い集合果に。
未熟の緑の実が徐々に色づいて赤い実に。 「名にし負わば 逢坂山のさねかづら 人に知られで くるよしもがな (藤原定方)」
実が落ちた後には花床が真っ赤になり、美しい。
大冬苺。バラ科キイチゴ属の常緑小低木で地表を匍う。実は美味しい。フユイチゴに似るが、葉柄に毛が密集していることで、区別できる。
常緑つる性木本。冬には赤い実が。かすかに胡椒の香りがしますが、香料としては使えません。
茎や葉を風呂に入れて薬湯とし、神経痛や打撲、骨折に効くといわれています。
ムカゴは葉腋(葉の付けね)の脇芽が肥大化した栄養芽。落下した後に発芽する。ユリのムカゴはこれとは異なる。塩ゆでにしたりムカゴ飯で食べる。
丸葉保呂之。ナス科ナス属のつる性多年草。葉に丸みがあるので、マルバノホロシと思われる。ヤマホロシの葉はより細長く、先端がとがっている。福岡県の絶滅危惧種に指定されている。
水仙。ヒガンバナ科スイセン属。地中海原産の単子葉多年生草本。花期は12~3月。室町時代に中国の禅僧によってもたらされたと言われ、後に野生化した帰化植物。全体に毒があり、ニラと間違えて食中毒を起こすケースが多い。
烏瓜。スミレ目ウリ科カラスウリ属。別名タマズサ(玉章)、ツチウリ、キツネノマクラ、ヤマウリ。雌雄異株のつる性多年草。葉はハート形。花は7~9月の日没後に開き、夜行性の蛾(スズメガ)を引き寄せ、翌朝には萎む。実は縦スジ入りで光沢のある緑色の卵形をなし、晩秋に熟して目立つ赤橙色に。
種子は打出の小槌のような形をしているため、財布に入れておくと富が得られるとされている。