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愛宕の森と緑を守る会​

愛宕山の植物 - 春〜初夏の散策2
フデリンドウ
筆竜胆。リンドウ科リンドウ属の越年草。学名 Gentiana zollingeri。蕾の形が名前の由来。高さ5〜10センチほど。花期は4~5月。茎の先に数輪の可憐な花をつける。愛宕山に咲く希少種で、街中では消滅。移植に弱く、現在のところ、増殖技術は確立していません。
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フデリンドウ1
大切にしていきたい貴重な花で、春、1本の茎に数輪の鮮やかな花を付ける可憐な小さい花です。日があたると開花し、曇ると閉じ、夕方にも早々と寝てしまいます。鑑賞するには晴れた日の午前中に。
フデリンドウ2
フデリンドウが咲く環境を守っていかないと、簡単に絶滅する危機的状況にあります。福岡では未指定ですが、数都府県で絶滅危惧種に指定されています。
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フデリンドウの蕾
間もなく開花。今のところ見つけた最多の蕾数。1本で20ほど。ハルリンドウに似ていますが、ハルリンドウは茎1つに花1つ。
フデリンドウ3
フデリンドウの可憐な花は、陽が出ている時にのみ開花します。花の色は、ひとつひとつの花ごとに、あるいは株ごとに、微妙に異なっています。
群生するフデリンドウ
この画像だけを見ると、絶滅の危機にあることを忘れてしまいます。しかし当初、愛宕山でこのようなフデリンドウを見ることができるのは、わずか数メートル四方の、この場所だけしか残っていなかったのです。現在は、その後の調査および環境保全で、この他にもう数か所で確認できています。しかし、それも安定したものではなく、依然として絶滅の危機にあることは変わりありません。
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フデリンドウの結実
フデリンドウは咲き終わると、「筆先」に豆粒のような形の実(蒴果、さくか)ができます。
フデリンドウの蒴果.jpeg
フデリンドウの蒴果
種子を包む蒴果(さくか、子房)は花弁とは逆に晴れると閉じ、雨天の際に開いて、中にある細かな粒の種子を雨水で周りに流します。種子を乾燥から守りつつ、雨水を利用して種子を蒔くフデリンドウの戦略。この画像は曇天で半ば開いた状態で撮ったものです。左側の3つは、頭を虫にかじられています。
全開したフデリンドウの蒴果
雨上がり直後のフデリンドウです。蒴果が全開しています。
フデリンドウの新芽
晩秋になると新たな芽が育ち、翌春の開花をめざして厳しい冬を越す。
かつてあった群生地
展望台のある大山祇神社跡公園は、かつてはフデリンドウの大群生地でした。工事による改変で今は見る影もなく、フデリンドウは整地箇所の周りにわずかに残っていますが、外来植物に覆われ、放置しておくと消滅しかねません。フデリンドウが適応できる条件は適度の木漏れ日があり、他の草が茂らないような環境に限られます。
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